漢方コラム

お問い合わせ

食養生通信

食養生通信No3【秋の食養生】

22年08月08日

8月7日の秋分から秋が始まります。実感としては真夏なのですが、確実に日の出は遅くなり、日の入りは早くなってきています。秋は食欲の季節ですが、その前に暑さで疲れ切ってしまった胃や腸をしっかりと建て直す必要があります。この暑さはまだ1ヶ月ぐらいは続くので、秋に備えてしっかりと体調を調えていきましょう。

 

これだけ暑いと食欲は低下し、冷たい物を飲んだり食べたりすることが多くなります。そのため胃は慢性的に冷えてしまい、消化能力も低下しています。このような状態を改善するために、週に一度はお粥や雑炊を食べるようにしてください。台湾や中国の海岸部の人たちは、朝食はお粥を食べることが定番になっています。これらの地域はとても暑いため、胃の働きが低下してしまうので、消化のよいお粥や雑炊を食べるのです。インドやパキスタンは香辛料を多く使うことで胃の働きを高めているのです。東南アジアでも香辛料や香草が多く使われます。これはすべて胃の働きを高めるためなのです。日本では香辛料や香草はあまり使いませんが、薬味を使うことで胃の働きを高めているのです。ネギ、ショウガ、ワサビ、ダイコン、トウガラシ、シソ、ミョウガ、そしてカラシなどがありますが、どれも胃の働きをよくしてくれるのです。

 

これらの薬味をしっかりと取ることで、暑さで弱った胃を元気にしてあげることが秋に向けての第一歩となります。そして、胃がより元気になってなってきたら、次は夏の間に消耗した体力を戻すために、少し栄養価のあるものを取り入れていきます。特にタンパク質や糖質の多いものがよいのです。たとえば、具だくさんの味噌汁やケンチン汁、サンマやカツオ、さらには納豆や味噌田楽など豆類を多く取るとよいでしょう。お肉がよいと思われるでしょうが、肉を消化するにはかなりのエネルギーを必要とします。スタミナがつくと思われがちですが、弱った胃腸には少々重荷になるのです。少量食べるのはよいのですが、食べ放題などで腹一杯食べると返って胃腸が疲れてしまうのです。豆類や魚類で補うとよいでしょう。

 

9月23日の秋分を過ぎた頃からは、胃腸も正常な状態に戻るようになるので、まさしく食欲の秋にふさわしいものを食べていくとよいでしょう。もちろん腹八分目とし、極端に冷たい物や辛い物はひかえるとよいでしょう。秋はさまざまな美味しいものが出回るようになります。美味しいものがたくさん食べられることは、何よりも幸せを感じることになるのですが、胃腸の働きがよくないとご馳走を目の前にしてもうれしくありません。胃腸がしっかりと働いてくれるようにするためには、まず冷たい物をひかえ、間食もひかえて十分にお腹をすかせるようにしてください。できたら、お腹がグーグーと鳴るくらいに。そのためには朝食を抜くのもよいでしょう。1日3食食べなければいという考えにしばられないようにしてください。江戸時代までは、一般の人は日の出とともに起きて働いて、お昼前に初めて食事を取り、そして一休みしてからまた働いて夕食を取ったのです。肉をほとんど食べることもなく、お米と味噌汁と、野菜や小魚、海藻を食べていたのですが、現代人よりも元気に活動していたのです。どうして、昔よりも栄養価の高いものを食べているのに、現在人は疲れやすいのでしょうか。そこには昔にあって、現代にはないものがあるからです。

 

昔の食べ物にはあって、現代の食べ物にはないものは、それは元気の源である「氣」なのです。氣は目に見えないエネルギーであり、漢方の考え方の根底にあるものなのです。人の心と体を動かしているのは氣なのです。氣は電気みたいなもので、氣がたくさんあると元気になり、氣が少ないと根気ややる気がなくなってしまうのです。氣は新鮮な食べ物に多く含まれています。加工食品にはあまり含まれていないのです。さらにハウス栽培や水耕栽培、人為的に品種改良した野菜や果物も少ないのです。そして冷凍食品やインスタント食品、レトルト食品も。見た目はよくても中身が薄いのです。現在の食生活では、何かしら加工したものを食べることが当たり前となってしまいました。人の手が加えられることで便利になった反面、氣が少なくなってしまうのです。いくら冷凍技術が発達しても、氣を温存することはできないのです。ある意味で私たちは日々、氣の抜けた食べ物を食べているのです。

 

氣を一番多く含んでいるのが、旬の新鮮な野菜や果物なのです。それも、日本古来からの品種で露地栽培したもので、自分で料理したものに一番氣が多く含まれているのです。昔はそのようなものを食べることが当たり前だったので、氣を多く取り入れることができたのです。残念ながら、今の多くの人はそのような野菜や果物を食べることはまずありません。ましてや、電子レンジが普及したことによって、電磁波で栄養素や氣が破壊されてしまうのです。現代人は見た目はスラットしてスタイルが良い人が多くなりましたが、その実体は元気がなく、生命力が乏しいのです。そのため、ストレレスに対する抵抗力が弱いので、引きこもりやうつ病になる人が多いのです。すべての源である「氣」をしっかり取り入れることが、真の食養生になるのです。

 

氣をしっかり取り入れるためには、なるべくお米を食べることです。氣の文字には米があります。お米にはすべての生命の源である氣が多く含まれているからです。米は実ははるか遠い宇宙から伝えられたのです。本当は縄文人が最初に米の栽培を始める予定だったのですが、今から1万年前の縄文人には米を育てるだけの能力がなかったため、中国で栽培が始まったのです。その後7千年の時を経て日本に稲作が伝わってきたのです。東南アジアを中心に稲作は広がりましたが、狭い国土でこれほどの収量を取ることができるのは日本だけなのです。そして米をこれほど大切にしてきた国は他にないのです。しかし戦後、アメリカのGHQの策略によって日本人の米離れは進み、さらに稲作に従事する人も減少して、今まさに日本人は米から切り離されようとしているのです。もしそうなれば、日本人はその尊厳を失い、生きる屍となるでしょう。日本人は米を食べてこそ日本人たるゆえんなのです。

 

米には実は、特殊なエネルギーが備わっているのです。それは、人の体を動かす原動力となるエネルギーを作り出す、細胞内のミトコンドリア自体を活性化するエネルギーなのです。このことは今の科学では解明されていませんが、米でも玄米には特にそのエネルギーが多く含まれているのです。ミトコンドリアは元々バクテリアの一種だったのですが、人間の元となった細胞に入り込んでエネルギーを供給する役目を果たすようになったことで、著しく進化したのです。より大きな体を保つには、それなりのエネルギーを必要としたのです。このミトコンドリアをより活性化するエネルギーを米はたくさん持っているのです。肉体を酷使する仕事やスポーツをする人に米とパンを主食に比較すると、明らかに米を主食にした人の方が持久力が高いことがわかっています。欧米の人は日本人よりも肉をよく食べるので、肉の高カロリーによって持久力が養われているのです。しかし、肉はエネルギー効率が悪いため、より多く食べないと維持できないのです。

ページTOPへ戻る

電話する

お問い合わせ