2月も残りわずかとなってきましたが、気温が一気に上がり4月のような暖かい日が続くようになってきました。寒かった冬も終わるのかと思えるほどですが、この時期は三寒四温と言われるように、寒い日と暖かい日が交互にやってくるので、油断しないようにしてください。特に足元が冷えている人が多いので、冷やさないようにしてください。
足が冷えると言うことは、足先に十分な血液が行かないため、その分頭部に血液がかたよりやすくなります。そのため目が充血したり、鼻が詰まりやすくなったり、肩が凝りやすくなります。そのような状態に大量のスギ花粉や黄砂が飛んでくると、強烈な刺激となって目や鼻をさらに充血させることになるのです。つまり、元々充血しやすい状態にあった目や鼻が、花粉や黄砂の刺激でさらに充血してかゆみを悪化させるのです。さらに、春は肝臓の調子が乱れやすい季節でもあるのです。人はクマのように冬眠はしませんが、寒い冬を乗り越えるために秋から多くの食べ物を食べて、エネルギー源として肝臓に蓄えていくのです。そして、それを一冬しっかり燃やして体温をいつも36度台に維持しているのです。そのため、体には多くの燃えカスがたまってくるので、春になると肝臓は燃えカスを一度リセットするために、フル活動するのです。その結果、肝臓はオーバーワークして調子が乱れやすくなってしまうのです。
肝臓は血液を蓄えておく倉庫であり、血液のクリーンセンターでもあります。心臓のポンプの力によって全身に血液を供給しています。肝臓の調子が乱れると血液の供給状態も乱れるようになり、スムーズに供給されなくなってしまうのです。その結果、生理不順になったり、頭に過剰に行きすぎたり、十分に行かなくなってしまいます。「はらわたが煮えくり返って頭に血が上る」のはらわたが肝臓のことなのです。春は「4月バカ」と言われるように、頭部に過剰な血液が行きやすいためハイになったり、感情的になりやすくなるのです。そして肝臓がさらに疲れてしまうと、頭部に十分な血液が供給されなくなって「五月病」のようなうつ的な状態になってしまうのです。春は肝臓の不調によってメンタルが不安定になりやすい季節でもあるのです。
肝臓の不調を改善してくれる食材が酢のような酸味の食べ物で、酢の物や柑橘類、梅干しやビタミンCなのです。さらに、春に芽生えるツクシやフキノトウ、タラ芽やワラビ、ウドやヨモギなどの山菜を食べるとよいでしょう。これらに含まれている苦味が、やはり肝臓の働きをよくしてくれるのです。そして、全身の血液のめぐりをよくするために、ウオーキングやランニング、山登りなどの運動を週に1~2回、1時間以上行うとよいでしょう。できたら、軽い汗が出るくらいの運動をするとよいでしょう。
春は肝臓が不調になりやすい季節、そのため自律神経やホルモンバランスが乱れやすくなって、心と体の両面が不調になりやすくなります。花粉症ばかりに気を取られることなく、心と体の両面をしっかりとケアーしていく必要があります。春は進学や就職など、環境の変化がいろいろとある季節でもあります。ストレスをため込まないように、適度な運動を心がけるようにしてください。
日本には四季があり、それぞれの季節に応じた養生法があります。しかし、温暖化の影響で四季が二季となりつつあります。また、冷暖房が完備されるようになって、ますます季節感が感じられなくなっています。しかし、人の体は他の生き物と同じように季節に応じていつも変化していることを忘れないでください。季節に沿った生活をしないと、いずれは体調をくずしてしまいます。一年を通じて同じ食べ物ばかりを食べていたり、寒い季節に冷たい物を食べたり飲んだりしていたり、さらには冷凍食品やインスタント食品ばかりを食べていると、まちがいなく心と体は不調になっていくでしょう。すべての食べ物には、それぞれに何かしらの体に影響を与える成分が含まれています。現代の科学では発見されていない未知の成分もあるのです。一つの成分がだけを取り上げて体によいと宣伝して売り込んでいる食べ物やサプリメントがありますが、そんな単純なものではないのです。やはり、加工されていない鮮度のよい食材を食べることが一番なのです。
季節に応じた食材を食べることが一番いいのですが、それを「旬を食べる」と言います。旬(しゅん)とは魚や野菜、果物などがよくとれる味の最もよい時のことで、江戸時代の庶民は旬の物を食べると数年長生きすると信じていて、争って買い求めたと言われています。旬の食材は単に美味しいだけでなく、漢方の考え方の基本にある「氣」を多く含んでいるのです。まさに元気の源なのです。旬の食材を見分ける方法は、スーパーなどで山積みにされて普段よりも安く売られている物なのです。春であればタケノコ、菜花、サヤエンドウ、玉ネギ、カツオ、タラ、サワラなど。夏であればトマト、キュウリ、枝豆、ピーマン、ナス、トウモロコシ、アジ、スズキ、ウナギなど。秋であればサツマイモ、ニンジン、サトイモ、ブロッコリー、サンマ、サバなど。冬であればダイコン、ハクサイ、シュンギク、ネギ、ブリ、タラなど。それぞれの季節によく取れる食材が「旬の物」なのです。
しかし今は冷凍技術が発達し、さらにはハウス栽培や水耕栽培がかなり普及しているため、年中手に入れることができるようになっています。そのため、旬の食材を見極めることができなくなっているのです。少しでも多くの「氣」を含んでいる野菜や果物、魚介類を手に入れるためには、生産者が明確にわかる食材を購入するように心がけてください。道の駅や直売場を利用したり、さらには生産者から直送してもらうのもよいでしょう。毎回はムリでも、少しでも露地栽培の野菜を食べるようにするとよいでしょう。そして、ご自分でも野菜作りに挑戦してみるとよいでしょう。
今、高齢者や一人暮らしの人が冷凍されたお弁当を利用することが多くなってきました。まとめて購入して、レンジで解凍すれば栄養バランスの取れた食事が取れると重宝されています。しかし、ある程度加工される段階で「氣」はかなり抜けてしまうのです。さらに、レンジで解凍する時にも「氣」は破壊されてしまうのです。現代栄養学的にはバランスが取れているのかもしれませんが、漢方の考え方から見れば、まさに気の抜けたビールと同じなのです。いくらバランスが取れていても、生命の力の元となる「氣」が抜けてしまっているのです。このような食事ばかりを食べていると、まさに気の抜けた体になり、病気になりやすくなっていくのです。通常の冷凍食品やレトルト食品、そしてインスタント食品も同じなのです。便利にレンジでチンするだけで美味しい物が食べられるようになってきましたが、手を抜いたツケは必ず後で回ってくるのです。
食べることは単に美味しいだけでなく、命の元となる「氣」を取り入れる大切な行為でもあるのです。便利さにとらわれることなく、少しでも手間暇をかけることを忘れないでください。


