漢方コラム

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医薬食同源シリーズ

医薬食同源シリーズ  いただきます

19年08月23日

食肉加工センターの阪本さんの職場では毎日たくさんの牛が殺され、その肉が市場に卸されている。牛を殺すとき、牛と目が合う。そのたびに阪本さんは、「いつかこの仕事をやめよう」と思っていた。

 

 

ある日の夕方、牛を乗せた軽トラックがセンターにやってきた。しかし、いつまで経っても荷台から牛が降りてこない。阪本さんは不思議に思って覗いてみると、10歳くらいの女の子が、牛のお腹をさすりながら何かを話し掛けている。その声が聞こえてきた。「みいちゃん、ごめんねぇ。みいちゃん、ごめんねぇ・・・」  阪本さんは思った、「見なきゃよかった」 女の子のおじいちゃんが阪本さんに頭を下げた。「みいちゃんはこの子と一緒に育てました。だけん、ずっとうちにおいとくつもりでした。ばってん、みいちゃんば売らんと、お正月が来んとです。明日はよろしくお願いします・・・」 「もうできん。もうこの仕事はやめよう」と思った阪本さん、明日の仕事を休むことにした。

 

 

家に帰ってから、そのことを小学生の息子のしのぶ君に話した。しのぶ君はじっと聞いていた。一緒にお風呂に入ったとき、しのぶ君は父親に言った。「やっぱりお父さんがしてやってよ。心の無か人がしたら牛が苦しむけん」 しかし阪本さんは休むと決めていた。翌日、学校に行く前に、しのぶ君はもう一度言った。「おとうさん、今日は行かなんよ!(行かないといけないよ)」 阪本さんの心が揺れた。そしてしぶしぶ仕事場へと車を走らせた。牛舎に入った。阪本さんをみると、
他の牛と同じようにみいちゃんも角を下げて威嚇するポーズをとった。

 

 

「みいちゃん、ごめんよう。みいちゃんが肉にならんとみんなが困るけん。ごめんよう」と言うと、みいちゃんは阪本さんに首をこすり付けてきた。
殺すとき、動いて急所をはずすと牛は苦しむ。阪本さんが「じっとしとけよ、じっとしとけよ」と言うと、みいちゃんは動かなくなった。次の瞬間、みいちゃんの目から大きな涙がこぼれ落ちた。牛の涙を阪本さんは初めてみた。(「いのちをいただく」/西日本新聞社刊より)

 

 

 

ある小学校で、助産婦として日々輝く命の誕生の瞬間に立ち会っている内田美智子さんと、毎日牛を解体して食肉にしている阪本さんのお話しを聞くという授業があった。阪本さんの話を聴いて感動した内田さんが、阪本さんにお願いしてこの話を絵本にさせてもらった。それが『いのちをいただく』(西日本新聞社)である。その絵本のあとがきに、内田さんはこう書いている。

 

「私たちは奪われた命の意味も考えず、毎日肉を食べています。自分で直接手を汚すこともなく、阪本さんのような方々の悲しみも苦しみも知らず、肉を食べています。『いただきます』『ごちそうさま』も言わずにご飯を食べることは私たちには許されないことです。食べ残すなんてもってのほかです・・・」
そう、私たちはいのちを食べていた。今日いただくいのちに・・・・・合掌。
(「日本一心を揺るがす新聞社の社説:水谷もりひと著 ごま書房新社より」

 

 

いくらバランスのよい食事をしても、いくら栄養価の高い物を食べても、いくらサプリメントを飲んでも、感謝の心がなければ身に付きません。
心を込めて「いただきます」 「ごちそうさま」を

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