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新時代通信No62【世界の歴史8】

21年10月27日

この通信は世界の歴史をお伝えします。今までは歴史を宗教の観点から見てきましたが、今度は物の流れから歴史を見てみます。物とは食糧や石炭や石油などの資源に、ダイヤモンドなどの宝石や阿片などの麻薬、そして金や銀などの貨幣となるものです。これらのものがある意味で世界を動かし、歴史を別の面で動かしてきたのです。

 

現在の社会は石油で成り立っています。ガソリンや火力発電、化学製品や衣類に電化製品、家具や日用雑貨に至るまで、ありとあらゆるものに使われています。石油はすでに1000年も前から使われていたのですが、産業革命によってガソリンが使われるようになってその利用は飛躍的に伸びるようになりました。100年前から自動車やオートバイに使われるようになり、さらには飛行機や船にも使われるようになりました。大きな油田は最初アメリカで発見されて製品化されて海外に輸出されるようになりましたが、先々の需要を考えると油田が枯渇するため他の国での油田探しが始まりました。中東のイランやイラクに大規模な油田が発見され、アメリカやヨーロッパの国々はその利権を求めて我先にこの国に押し掛けたのです。しかし、これらの国も自国の資源を簡単に手渡すわけにはいかないのでさまざまな画策や調略が行われ、それが中東戦争につながり、さらにはイスラエルの建国やイラクへの攻撃、イランへの経済制裁に発展していったのです。すべてはアメリカを中心とした西側諸国の石油に対する独占欲にからんでいるのです。

 

同じようなことがアフリカでもっと古くから行われてきました。今から300年前、今の南アフリカは航路の中継地として町が作られるようになり、ヨーロッパの人たちが住むようになりました。さらに奥地に入り込み、そこで原住民の人たちが金やダイヤモンドを持っていることに驚いて、ゴールドラッシュが巻き起こりました。フランス、ベルギー、イギリス、さらにはオランダも加わって激しい強奪戦が行われました。最終的にはイギリスが独占するようになり、多くの金やダイヤモンドを本国に送ったのです。ジャングルで動物に育てられたターザンは、この時戦闘で親を殺された幼子なのです。イギリスは強大な軍事力で他国を排除しましたが、あきらめられない他国は粘り強く奪還を狙っていました。この時、イギリス本土から青少年が偵察隊として送り込まれてきました。相手国の情勢を探るために、スパイのような訓練を受けたのです。この時の訓練法が元にになってボーイスカウトができました。

 

その後多くの金やダイヤモンド、さらにはプラチナが採取されるようになり、イギリス人が多く住むようになって従来から住んでいたアフリカの人たちは奴隷のような扱いを受け、つい最近までアパルトヘイトと呼ばれる黒人の差別扱いが横行していたのです。それは今も強く根付いています。アフリカは他にもダイヤやルビーなどの宝石の原石が豊富にあったので、ヨーロッパの国々が勝手に入り込んで搾取していったのです。時には原住民を無差別に殺すこともありました。ベルギーはダイヤモンドの加工が有名ですが、この頃から国を挙げてアフリカを侵攻しコンゴなどをその支配下に置き、ダイヤを大量に本国へ送りました。そのことでベルギーはダイヤの加工が飛躍的に向上したのです。

 

麻薬の原料となる大麻草の栽培の起源はかなり古く、およそ1万2千年前から中国で行われていました。当時は繊維を利用して衣類や履物、さらには小物入れなどを作ったり、種の油は薬や食用として使われました。その後さまざまな形で使われていったのですが、4000年ほど前からいわゆるドラッグとしても使われるようになりました。元々アジアを中心に分布していた植物で、中国やインド、さらには東南アジアの国々で栽培されてきました。イギリスがインドを植民地にした時に、最初に目を付けたのが麻薬でした。当時ヨーロッパでは麻薬が一種のブームとなり、貴族や身分の高い人たちの間で愛用されていました。そこでイギリスはインドで大麻を大量に栽培させて、ヨーロッパで売りさばいたのです。そのためインドでは本来の米の栽培やその他の穀物の栽培が縮小し、多くの餓死者を出すようになってしまったのです。それが起因して大きな暴動が起こりましたが、イギリス軍の制圧で何十万人のインド人が虐殺されました。その後この麻薬、当時は阿片と言いましたが、中国にもお茶の輸入の肩代わりとして大量に輸出して多くの中国人を中毒にさせたため、当時中国を治めていた清王朝がイギリスへのお茶の輸出を禁じたため、イギリスが一方的に侵略してきたのです。いわゆる阿片戦争です。

 

その後大麻は中南米でも栽培されるようになり、メキシコを経由してアメリカに渡るようになりました。当時のマフィアの資金源となり、若者や貧困層に急激に広がり治安を悪化させる大きな要因となりました。メキシコの麻薬王と呼ばれた人物は女性で、自身も麻薬中毒で刑務所内では禁断症状で発狂して廃人になったようです。麻薬はいつの世も人の心と体を蝕んでいくのです。麻薬を国の財源にするために精力的に栽培しているのが北朝鮮です。本来寒い北朝鮮では大麻の栽培はむつかしいのですが耐寒性の品種を作り出し、多くの麻薬を世界に売りさばいています。北朝鮮が食糧難でいつも人民が飢餓状態になっているのは、農地の多くを大麻の栽培に使っているからです。さらにそこに自然災害が加わっているためです。マスコミではあまり取り上げられませんが、北朝鮮の麻薬は世界の使用量の半分近くになるのです。このことは世界各国は暗黙の了解をしているのです。なぜならば、北朝鮮には大量のウランが埋蔵していて核兵器を大量に作って世界に売りさばかれると困るからです。何度も核施設への視察団が訪れたのはそのためです。表向きは核開発をしないと約束するのですが、裏では着々と開発をしているのです。もちろん西側諸国もそれはわかっていて、いろいろな駆け引きをしながら様子を見ているのです。今後、北朝鮮がどのようになっていくのかが大きな世界の関心事でもあるのですが、多くの人民が飢えに苦しんでいるのも限界に達しています。おそらくこの冬は大寒波がやって来るので、人民だけでなく兵士も飢えに耐え切れなくなって暴動を起こし、首脳部は窮地に追いやられるでしょう。この通信は2021年10月の下旬に書いています。

金や銀も歴史を動かしてきました。船による航海が盛んに行われるようになると、ヨーロッパの国々は金や銀を求めて世界各地にいったのです。ポルトガルやスペインは中南米を、イギリスはアフリカを、オランダやベルギーもアフリカを、そしてフランスは東南アジアを主に侵攻し、植民地化していったのです。肝心の金や銀はあまり見つかりませんでしたが、それぞれの植民地で取れる産物や資源がヨーロッパの国々を潤したのです。逆に植民地にされた国々はその文化や古くから伝わる習慣や信仰を奪われてしまい、その国のアイデンティティが損なわれてしまったのです。特にアフリカはその影響を今でも引きずっていて、内戦や飢えに苦しむ人が後を絶たないのです。ヨーロッパの国々が犯してきた罪ははかり知れないものがあるのです。おそらく大きな裁きが近いうちに下されるでしょう。

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