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食養生通信No2【土用の食養生】

22年07月06日

土用とは季節と季節の変わり目の季節のことなのです。二十四節季の立春、立夏、立秋、立冬の前18日間を土用と言います。この季節は体がある意味での衣替えをする時季で、体の機能を大きく変えるために脾臓がとても忙しくなる季節でもあるのです。つまり、体の代謝機能が盛んになるため、多くのエネルギーを必要とするのです。

 

多くのエネルギーは食べ物から取り入れます。そのため食べ物を消化吸収する脾臓が忙しくなるのです。しかし、働きすぎると当然ですが疲れてくるのです。特に夏の土用(7月20日頃から8月6日頃まで)は、高温多湿になっているため、それ以上に脾臓は疲れてしまっているのです。脾臓は高温多湿に弱い臓器で、夏場に食欲がなくなるのはそのためなのです。しかし、土用は自動的に脾臓が活発に動くようになるため、なおさら疲れてしまうのです。江戸時代の蘭学者であり、医者でもあった平賀源内が夏の土用にウナギを食べることを推奨したのです。当時、すでにウナギを食べる習慣は定着していたのですが、夏場になるとその需要が落ちてしまうので、ウナギを扱っている飲食店から何か良い方法はないかと相談されたことが事の始まりなのです。

 

この時期は食欲が低下して体力も弱くなってくるので、ウナギを食べて滋養強壮をつけると良いと言ったとされています。そのことで土用にウナギを食べることが普及していったのです。今では、この時期になるとウナギ屋さんは大忙しとなるのです。しかし、ウナギの価格は高騰し、庶民の食べ物ではなくなってきているのです。土用にウナゴを食べなくても、他のもので代用することができます。ウナギには甘いたれがかけられますが、この甘味が脾臓の働きを改善してくれるのです。しかし、甘いお菓子やスイーツは脾臓を冷やしてしまうので返って逆効果になってしまいます。甘くて温める食材が適しているのです。それが生姜の甘酢漬けなのです。いわゆるお寿司屋さんで出てくるガリでよいのです。そしてもう一つ、ラッキョウの甘酢漬けもよいでしょう。どちらかを毎食食べていけば、夏バテすることなく過ごすことができるでしょう。

 

ウナギは甘いだけでなく良質のタンパク源でもありますが、昔と違って今は十分なタンパク質は日頃から取っているので、あえてウナギを食べなくてもよいのです。ちなみに私のお店の目の前には、とても繁盛しているウナギ屋さんがあります。毎日多くのお客さんがみえるため、ウナギの蒲焼のにおいがいつも店に入ってきます。そのため私はそのにおいだけでご飯が食べられる状態にあるのです。できたらタレだけでもあれば事足りるのです。今年も夏の土用が近づいてきましたが、前のウナギ屋さんに長蛇の列ができることになるでしょう。ちなみに、ウナギはこれからますます高くなっていくことでしょう。乱獲もありますが、海水温の上昇と海流の蛇行によって稚魚が日本の河川に戻ってこられなくなっているのです。さらに、中国や台湾での消費が高まっているため、ますます値段は高騰していくのです。高くても食べたい人は食べるでしょうが、それほど無理に食べる必要はないのです。いずれはウナギの代わりにドジョウやナマズが食べられるようになるでしょう。すでにナマズは食べられているので、ウナギの代用品となるのも間近なこととなるでしょう。

 

ゲノム編集食品と言う言葉を聞かれたことがありますか。遺伝子組み換え食品とは一応異なる食品とされています。遺伝子組み換え食品は、他の生物の遺伝子を組み入れた食品で、たとえば農薬に対して抵抗性を持つウイルスの遺伝子を小麦や大豆の遺伝子に組み込むことで、農薬に対して影響を受けないようにさせたり、害虫に対して毒性のある遺伝子を組み込むことで害虫に強い作物に作り替えた物が遺伝子組み換え食品なのです。ゲノム編集食品はその食品の遺伝子を特殊な方法で処理することで特定の成分を多く含む食品にしたり、タイヤフグなどの魚の遺伝子の成長を制御する遺伝子を破壊して、身が大きくなるようにさせたものなのです。つまり、外部から別の生物の遺伝子を組み込んだものが遺伝子組み換え食品で、特定の遺伝子を破壊したり操作したものがゲノム編集食品なのです。

 

遺伝子組み換え食品に対しては多くの人が拒絶反応を示してきたため、それに代わるものとしてゲノム編集食品が作られたのです。しかし、遺伝子を操作することには変わりはありません。いくら科学が発達しても、まだまだ生物の遺伝子はわからないことは多々あるのです。ゲノムとは遺伝子全体を表わす言葉ですが、実際に形や色、特定のタンパク質の合成やそれを制御する働きをする部分を本来の遺伝子と言うのです。ゲノム全体のおよそ数パーセントが何かしらの特定の働きをする遺伝子なのですが、残りの多くはどのような働きをしているのかはいまだにわかっていないのです。そのような状態で人間の都合のいい部分だけを破壊したり、切断したりすると残りの部分がどのような影響を受かるのかはまったくわかっていないのです。そのことをイギリスや多くの国が指摘して、それらの食品の輸入を禁止しようとしている中で、日本だけが何の規制もなく輸入を始めようとしているのです。このゲノム編集食品を作っている会社はほとんどがアメリカなのです。

 

すでにトマトが入り始めています。とても巧妙な手を使って。全国の小学校にゲノム編集をしたトマトの苗を無料で配布して、子どもたちに育てさせて食べさせるのです。味は美味しいので、子どもたちはまた食べたいと言います。すると親はそのトマトを買うことになるのです。さらにデイサービスの施設にも苗を配布する予定になっているそうです。このトマトをかわきりにゲノム編集食品を日本に売り込もうとしているのです。日本の政府は何の規制もなく、食品表示にも記載義務はない形で話を進めています。遺伝子組み換えの場合は記載義務があるのですが、ゲノム編集食品にはないのです。そのような食品がこれから日本で広まっていこうとしているのです。毒になるかもしれない食品が。

 

日本はすべてがアメリカの言いなりです。オレンジや小麦の残留農薬の基準値もアメリカの圧力で大幅に引き上げられ、成長ホルモンを使った牛肉の輸入も容認しています。ヨーロッパでは、アメリカ産の牛肉の輸入は禁止されています。わずかながらでも肉にホルモン剤が残っているからです。遺伝子組み換えしたトウモロコシは家畜の飼料としてアメリカから多く輸入されています。直接食べることはありませんが、間接的に遺伝子組み換え作物を食べているのです。このままでは次世代の子どもたちの食の安全はとても危険なものになってしまうのです。そしてもう一つが、野菜などの種の問題です。国内の野菜の種の9割以上が外国で作られているのです。JAが国産の安全性をピーアールしていますが、種のほとんどは外国産なのです。当然ですが、これらの種も農薬や殺虫剤が多く使われています。そのことで、見た目にはよくても栄養価やその生命力はひと昔前の物とくらべると、かなり低下しているのです。物によっては、50年前の半分にも満たないものが多いのです。これからの食について、真剣に考える時が来たようです。

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