漢方コラム

お問い合わせ

食養生通信

食養生通信No8【免疫力を上げる食】

23年01月10日

免疫力を上げる食材はいろいろありますが、最近一番注目されているのが腸内細菌のバランスを整える乳酸菌ですが、乳酸菌飲料やヨーグルトは実際にはさほど効果を発揮していないことがわかってきました。乳酸菌の多くは元々日本人の腸内には存在していないからです。よそ者はいつまでも腸にとどまることはできないのです。

 

免疫力を上げると、さまざまな食品やサプリメントが巷には出回っています。しかし、その多くは動物実験や短期的な試験による結果を元に伝えています。しかし、動物と人では異なることが多く、長期的な調査をしないとわからないこともあるのです。では何を指標にしていけばよいのか、それは2000年前に確立された漢方の考え方なのです。いわゆる陰陽五行と言う考え方を指標にしていくのです。この考え方は、自然の摂理と人の体の原理の関係を詳細に探究したもので、自然と調和した生き方をするためのノウハウがすべて網羅されているのです。つまり、自然と調和する生き方が免疫力を高め、さまざまな病気にかからないようにする秘訣となるのです。したがって、単純に何かを食べればよいと言う問題ではないのですが、ここでは陰陽五行に基づいた食の在り方をお伝えします。

 

すべての食材は体に何らかの効果をもたらします。漢方では薬草も食べ物も、味と性質を重視します。自然からいただいた物には味がありますが、酸味は肝臓や胆のう、自律神経や子宮の状態を整えます。苦味は心臓や小腸、高血圧や舌の状態を整えます。甘味はい脾臓や胃、手足のだるさや口の周りの状態を整えます。辛味は肺臓や大腸、鼻や皮膚の状態を整えます。そして塩味は腎臓や膀胱、骨や耳の状態を整えます。季節や年齢、そしてその人の状態に応じた味の物を取り入れていくことが自然との調和につながり、結果として免疫力を高めていくのです。確かに腸内環境を整えることも大切ですが、それ以上に体全体のバランスを整えることの方が大切なのです。しかし、一般の人には味をうまく使いこなすことはなかなかできません。そこで、一つの目安となるのが、旬の食材なのです。

 

旬の食材とは季節ごとに取れる物で、春であればフキやタラ芽、ツクシ、タケノコ、ワラビなどで、夏であればキュウリやトマト、ナス、スイカ、トウモロコシ、ピーマンなどです。秋であればダイコン、ニンジン、サツマイモ、ヤマイモ、クリなどで、冬であればハクサイやシュンギク、ホウレンソウにシイタケなのです。本来は各季節ごとに収穫するのですが、現在はビニールハウスや工場で生産する物も多くなり、物によっては季節に関係なく作られるようになってきました。まずは、それぞれの作物や果物がいつの季節に食べられる物なのかをしっかりと認識する必要があります。また、輸入されてくる野菜や果物も、どの国でいつの季節に収穫された物なのかをしっかりと確認してください。夏や南国地方で収穫される物の多くは体を冷やします。したがって、冬場にはあまり食べない方がよいのです。逆に、冬場や寒い地方で収穫される物の多くは体を温めてくれるので、夏であっても冷房で冷えている人は積極的に食べるとよいのです。いずれにしても、季節外れの物はあまり食べない方がよいのです。
漢方の考え方で、もう一つ大切なものがあります。それは『氣』です。私たちの心と体を動かしている原動力でもあるのです。氣は電気みたいなエネルギーであり、旬の新鮮な作物に含まれています。逆に、加工した物やインスタント食品、レトルト食品、冷凍食品、さらに最近では急速冷凍した食品が普及していますが、これらの物には、氣はあまり含まれていないのです。氣は人の手が加わると急速に消失していくのです。そして、電子レンジもやはり氣を急速に消失させます。昔ながらの煮たり、焼いたり、蒸したり、炒めたりする調理法は、氣の消失を最小限にとどめてくれるのです。氣のない物ばかりを食べていると覇気がなくなり、根気、やる気、元気がなくなっていくのです。見た目と便利さを優先する今の食事は、結局は人の体を弱くしているのです。

 

免疫力を上げる食事とは、旬の新鮮な作物をいただき、昔ながらの調理法を活かし、さらにはお米を中心とした和食となるのです。何か一つの物を大量に取れば、免疫力がみるみる上がることなどはないのです。すべてはバランスです。陰陽のバランス、つまり体を温める食材と冷やす食材を季節に応じて取ることであり、体を冷やす物は極力ひかえていくことが大切なのです。今の若者は、冬場でも冷たい飲み物を飲んだり。アイスクリームよく食べます。体温が1度下がれば、免疫力は50%ダウンするのです。さらに、多くの乳製品や白砂糖も体を冷やします。さまざまなお菓子やスイーツには大量の牛乳と砂糖が使われているのです。何を食べるのかよりも、何を食べないようにするかを考えるべきなのです。

 

免疫力を上げるためには体温を下げないこと、過度なストレスをためないこと、そして腸内環境を整えることが条件となります。したがって、何度もお伝えしていますが、サプリメントや特定の食品ばかりを摂取すれば免疫力が上がるのではないのです。そのことをしっかりと認識してください。ただ、明らかに免疫力を上げる食材はあります。キノコ類や海藻類、そして豆類に麹菌を使った発酵食品、それと味噌汁と納豆なのです。これらの物を毎日ある程度食べていけば、免疫力は高い状態を維持できるのです。しかし、テレビやマスコミでさまざまな物が免疫力を上げると伝えているため、多くの人はそれに振り回されているのです。そのことをしっかりと認識してください。

 

免疫力は加齢とともに低下していくことは避けられないことではありますが、漢方薬には加齢に伴う免疫力低下を少しでも食い止める物があります。それは、鹿の角である鹿茸(ロクジョウ)なのです。トナカイのような大型の鹿の角は、毎年生え変わります。春先になるとタケノコのように生えてくるのです。その生え始めのやわらかい角を使うのです。1年で1メートル以上成長する角には、多くの生命力が宿っていると昔から信じられてきたのです。もちろん、その効果は実際に証明されているので、今でも多くの人に愛用されているのです。鹿茸は体の腎臓に活力を与えると漢方では考えます。腎臓は尿を作り出すだけの臓器ではなく、免疫力や生殖器機能にも深く関わっていて、さらに骨の成長や足腰にも関係しているのです。鹿茸はある意味で老化防止薬として昔から珍重されてきたのです。年齢による衰えを感じている人は、一度飲んでみるとよいでしょう。

 

これからの時代は、自分の体は自分で守っていくことを考えなくてはいけません。今の医療では免疫力を上げることはできません。逆に下げる薬を大量に出しているのが現状です。ステロイド剤や鎮痛剤、抗うつ剤に安定剤、さらには抗ガン剤や免疫抑制剤など、どれも長期に飲むことで免疫力はじわりじわりと下がっていくのです。その結果、さまざまな病気を新たに引き起こしていくのです。

ページTOPへ戻る

電話する

お問い合わせ